外国人旅行者はどう店を探すか|出発前と滞在中で変わる情報の役割

外国人旅行者はどう店を探すか|出発前と滞在中で変わる情報の役割

外国人旅行者は、旅行前にSNSや動画で行き先の候補を知り、日本に着いてから交通手段や飲食店の情報を調べる傾向があります。Googleマップは、滞在中に「今どこへ行くか」を確かめる場面で使われる道具の一つです。ただし、公的な調査に「地図アプリ」という選択肢はありません。地図がどれだけ使われているかは、調査からは分かりません。

この記事は、訪日客が来る、あるいはこれから増やしたい店舗・地域サービスの方向けです。公的調査で分かることと分からないことを分け、旅行者が店を選ぶまでの流れを段階に分けて、自店で何を確かめるかを決められるようにします。統計と公式ヘルプは2026年10月5日に確認しました。店舗の例はすべて架空です。MEO全体の学び方はMEOを基礎から学ぶ学習ガイドにまとめています。

公的調査で分かること

日本政府観光局(JNTO)の推計では、2025年の訪日外客数は4,268万3,600人で、前年比15.8%増でした(JNTO 訪日外客数 2025年12月推計値、2026年1月21日発表)。

旅行者がどこで情報を得ているかは、観光庁の「インバウンド消費動向調査」2025年年次報告書が尋ねています(訪日外国人の消費動向 2025年年次報告書、23ページ、全国籍・地域、複数回答)。主な項目を抜き出しました。

出発前に役に立った情報源選択率日本滞在中に役に立った情報選択率
SNS43.3%交通手段65.9%
動画サイト39.6%飲食店56.0%
個人のブログ23.9%観光施設39.1%
日本政府観光局ホームページ12.2%宿泊施設38.0%
口コミサイト11.0%買物場所33.8%
宿泊予約サイト10.5%無料Wi-Fi15.3%

旅行中に困ったことについては、観光庁が空港で調査しています。2025年4月18日公表の調査(2024年12月〜2025年1月、4,189件)では、「困ったことはなかった」が51.1%で、困ったことの上位は「ごみ箱の少なさ」21.9%、「施設等のスタッフとのコミュニケーション(英語が通じない等)」15.2%、「観光地や地域の混雑」13.1%でした。コミュニケーションで困った場所は飲食店が最も多いと報告されています(観光庁 訪日外国人旅行者の受入環境に関する調査)。

調査から言えないこと

数字を自店の判断に使う前に、限界を押さえます。

  • 地図アプリの利用率は分からない:上の情報源の選択肢に地図アプリはありません。「滞在中に飲食店の情報が役に立った」という回答が、地図で得た情報かSNSで得た情報かは区別できません
  • 全国の平均である:国籍や旅行の目的、訪問地によって傾向は変わります。報告書には国籍・地域別の集計もあるので、自店の客層に近い国を確認します
  • 店の選び方そのものは尋ねていない:何を見て店を決めたかは、自店で聞かないと分かりません

ここから先の「探す流れ」は、調査結果と一般的な行動を組み合わせた当社の整理です。確定した行動モデルではなく、自店で確かめるための仮説として使ってください。

店を選ぶまでの3段階(仮説)

段階旅行者がしていそうなこと店が用意したい情報主な置き場所
1. 旅行前に知るSNSや動画で地域の名物、行きたい店を保存する店名の正しい表記、何の店か、場所自社サイト、SNS、Googleのプロフィール
2. 滞在中に確かめる保存した店を検索し直す、近くの店を地図で探す、開いているか確かめる営業時間、定休日、予約の要否、価格帯、支払い方法、食事の条件Googleのプロフィール、自社サイト
3. 到着・入店する入口を探す、注文する、支払う入口の写真、外国語のメニュー、注文と支払いの流れ店頭、メニュー、写真

1の段階で店名を知った人は、2の段階で店名を検索します。そのため、旅行前の情報源に載っている表記と、Googleに登録した店名が一致しているかが大切です。店名検索と業種検索の違いは店名検索と業種検索の違いで説明しています。

2の段階では、旅行者のスマートフォンの言語設定が影響します。Googleマップのヘルプは、言語を変えても地図のラベルは現地の言語で表示され、場所の情報は選択した言語で表示されると説明しています(Google マップの言語やドメインを変更する)。一方、店名は看板などで使っている名前を1つの言語で登録し、複数の言語で繰り返して書くことは認められていません(ビジネス情報のガイドライン)。どの情報が訳され、どれを店が用意するかは自動で訳される情報と店が用意する案内で整理しています。

自店で確かめる2つの方法

仮説を自店の実態に当てはめるために、次の2つを試します。どちらも当社の提案する方法です。

方法1:旅行者の言語で自店を見る

  1. Googleマップの言語を英語に切り替える(客層に合わせて中国語・韓国語なども)
  2. 店名で検索し、プロフィールの各項目が読めるかを見る
  3. 「近くのラーメン」のような業種の検索を英語で行い、自店が候補に出るか、出たときに何が読めるかを見る
  4. 写真を順に見て、入口、メニュー、価格が分かる写真があるかを確かめる
  5. 見たことを画面の写しと一緒に記録する

検索結果は検索する場所や端末で変わるので、出るか出ないかの一回の結果で順位を判断しないでください。理由は順位が人によって違う理由にあります。

方法2:来店客に聞いて記録する

会計時や受付時に、可能な範囲で次の3つを記録します。指差しで答えられる簡単なカードを用意すると、言葉の壁があっても聞けます。

日付使った言語何で知ったか来店前に何で確かめたか困ったこと
(記入例・架空)英語動画サイト地図で営業時間メニューの中身が分からない

1か月ほど続けると、どの段階で情報が足りないかが見えてきます。「何で知ったか」と「何で確かめたか」を分けるのが要点です。知るきっかけがSNSでも、確かめる先が地図なら、地図の情報を整える意味があります。

架空例:駅前の蕎麦店が見直したこと

地方の駅前で営業する架空の蕎麦店では、訪日客が増えてきた一方、入店後に注文で戸惑う様子が目立っていました。記録を取ると、次のことが分かりました。

  • 知ったきっかけは動画とSNSが多く、店名は英字の愛称で覚えられていた
  • 来店前に地図で営業時間を見ていたが、昼の売り切れじまいが伝わっていなかった
  • 入店後、温かい蕎麦と冷たい蕎麦の違いが分からず注文に時間がかかっていた

そこで、売り切れで早く閉まることを説明文と店頭に書き、温冷の違いを写真付きで示した外国語メニューを用意しました。愛称は登録名に入れず、自社サイトとSNSで「正式名称」と並べて示しました。結果の良し悪しは、同じ記録を続けて比べます。

優先順位の決め方

インバウンド対応は、項目が多く、すべてを一度には整えられません。当社は次の順をおすすめします。

  1. 来店の可否に関わる情報:営業時間、定休日、予約の要否、入口。間違っていると、来ても利用できない
  2. 利用条件:支払い方法、食事の条件、子ども連れなど。詳しくは食事条件・支払い・利用条件の伝え方
  3. 店内で必要になる案内:外国語のメニューや予約案内。作り方は外国語の店名・メニュー・予約案内
  4. 来店後のやり取り:外国語の口コミや問い合わせ。外国語の口コミ・問い合わせへの対応

観光・体験の予約サイトを使っている場合は、予約の入口が複数に分かれていないかも確認します(観光・体験の予約媒体との役割分担)。営業時間など基本情報の整え方は基本情報の整え方、全体の学習順はMEOの学習ガイドに戻って確認してください。

この分野の全体像と読む順は、インバウンド・多言語・利用しやすさの学習ガイドにまとめています。

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