士業の口コミ返信は依頼関係に触れずに書く|状況別の文例6パターン

士業の口コミ返信は依頼関係に触れずに書く|状況別の文例6パターン

結論から書きます。士業事務所の口コミ返信は、依頼関係を肯定も否定もしないのが基本です。「ご依頼ありがとうございました」と書けば依頼関係を認めたことになり、「当事務所の依頼者ではありません」と書けば否定したことになります。どちらも公開の場で依頼関係に触れています。

  • 依頼関係に触れずに書ける返信の基本の型
  • 評価別・状況別の文例と、書いてはいけない言葉
  • 返信しないという判断をしてよい場合

口コミ返信の例文は、飲食店や美容室、クリニック向けのものが多く公開されています。ただ士業事務所の場合は、他業種の例文を使うときも、依頼関係や案件の内容に触れていないか、所属会の規程に抵触しないかを確認する必要があります。

この記事では、司法書士、税理士、社会保険労務士、行政書士の事務所を想定し、依頼関係に触れない返信の型と文例を用意しました。法令と規程、Googleの仕様は公的な資料で確認しました(2026年9月16日時点)。個別の表現の可否は所属会に確認してください。

なぜ依頼関係に触れない方がよいのか

4士業には、それぞれの法律に守秘義務があります。正当な事由や正当な理由がない限り、業務上知り得た秘密を漏らしてはならない、という内容です。

誰が依頼者かという事実自体が、業務上知り得た事項に含まれ得ます。本人が自分の意思でGoogleマップに投稿することと、事務所が公開の場でその関係を述べることは別の話です。

広告の規程も重なります。大阪司法書士会の広告に関する規則3条は、依頼者を表示した広告と、受託中の案件または過去に取り扱い若しくは関与した案件を表示した広告を、依頼者の文書による同意がある場合を除いて禁じています。名古屋税理士会の業務の広告に関する細則4条も、委嘱者の氏名または名称、現在取り扱いまたは委嘱されている事案、過去に取り扱いまたは委嘱された事案を表示した広告を禁じ、委嘱者の書面による同意がある場合を除くと定めています(同会綱紀監察部の綱紀のしおり 四訂版47ページ)。規程の内容は会ごとに異なるため、自分の所属会で確認してください。

返信は誰に届くか

Googleの公式ヘルプによると、返信が公開されると投稿者に通知が届きます。表示は企業からの返信となり、担当者の個人名は出ません。読むのは投稿者と、これから相談を検討している人の両方です。

返信の基本の型

通常の返信は、次の3要素を基本に組み立てます。投稿の内容によっては省略できますし、返信を控える判断もあります。

  1. 投稿への謝意。「ご投稿いただきありがとうございます」。依頼への謝意ではありません
  2. 事務所としての一般的な姿勢。個別の案件ではなく、日頃の方針を述べます
  3. 今後についての一言。改善の姿勢か、相談しやすさへの言及で締めます

Googleは返信について、わかりやすく、有益で、礼儀正しいことと、簡潔であることを勧めています。長く書く必要はありません。

状況別の文例

文例はそのまま使えますが、費用の説明の方針、確認の状況、改善の約束は、実際の運用に合う場合だけ使ってください。書いた内容と実態が違えば、それ自体が新しい問題になります。連絡先の案内は、自分の事務所の記載に置き換えてください。

高い評価に本文がある場合

ご投稿いただきありがとうございます。当事務所では、ご相談の段階から見通しと費用をお伝えすることを心がけております。今後もご相談いただきやすい事務所であるよう努めてまいります。

投稿に「相続の手続きが早かった」と書かれていても、こちらから「相続のご依頼ありがとうございました」とは返しません。投稿者が自分で書いた内容に、事務所が乗る形になります。

星だけで本文がない場合

ご評価をいただきありがとうございます。お気づきの点がございましたら、当事務所の公式サイトに掲載しております電話番号へ直接お知らせください。個別のご事情は、公開されるこの欄ではなくお電話でうかがいます。

星だけの投稿は、高評価でも低評価でも同じ型で返せます。相手が誰かを推測して書き分けないでください。

厳しい評価で、対応への不満が書かれている場合

ご投稿いただきありがとうございます。ご不快な思いをさせてしまったのであれば申し訳ございません。当事務所では、ご説明の分かりやすさと連絡の頻度について、あらためて見直してまいります。お手数ですが、詳しいご事情をお聞かせいただける場合は、事務所までご連絡いただけますと幸いです。

個別の経緯には触れず、一般的な改善姿勢だけを述べています。事実関係の反論は、公開の場ではしません。

費用への不満が書かれている場合

ご投稿ありがとうございます。当事務所では、ご依頼をお受けする前に費用の内訳をご説明するようにしております。ご不明な点がございましたら、当事務所の公式サイトに掲載しております電話番号へ直接お尋ねください。

報酬額そのものを返信に書くことは避けます。案件ごとに条件が違うため、公開の場に出すと誤解を招きます。

身に覚えのない投稿の場合

ご投稿いただきありがとうございます。個別のご事情について、この場での回答は差し控えております。行き違いがございましたら、お手数ですが当事務所の公式サイトに掲載しております電話番号へご連絡いただけますと幸いです。

「当事務所にお越しになった記録がありません」とは書きません。来所記録の有無に言及すると、投稿者との関係について事務所が公の場で説明することになります。記録の有無にも触れない運用にしてください。報告の手続きは返信とは別に進めます。詳しい手順は身に覚えのないGoogle口コミへの対処にまとめました。

相手方からの投稿と思われる場合

士業でも起こり得る状況です。相続や債務整理、労使の紛争では、依頼者の相手方が事務所に不満を持つことがあります。この場合も返信は同じ考え方です。

ご投稿いただきありがとうございます。個別のご事情についてこの場でお答えすることは差し控えますが、いただいたご意見は今後の業務の参考にいたします。

相手方であることを前提にした書き方は、依頼関係や案件の特定につながるおそれがあります。立場を推測した返信は避けてください。

返信に書かない言葉

書かない理由
ご依頼ありがとうございました依頼関係を認めたことになる
当事務所の依頼者ではありません依頼関係を否定したことになる
◯月◯日にお越しの方来所の事実と時期を公開することになる
相続の件では/登記の件では案件の種類を明かすことになる
担当した◯◯よりその投稿者への対応や担当関係を認めることになる。氏名を出す場合も、案件の特定につながらないか確認する
ご依頼の経緯は◯◯でした事実関係の説明が、業務上知り得た秘密の開示につながる

返信の運用を決めておく

STEP
返信できる状態にする

クチコミへの返信には、ビジネスプロフィールのオーナー確認が必要です。事務所のアカウントで管理できているかを先に確認してください。

STEP
誰が書くかを決める

補助者や事務職員が下書きし、先生が確認してから公開する形が現実的です。上に挙げた条文は、士業本人の守秘義務を定めたものです。これとは別に、事務所の使用人その他の従業者に対しても、税理士法54条、社会保険労務士法27条の2、行政書士法19条の3が、正当な理由なく業務上知り得た秘密を漏らすことを禁じています。司法書士法に同じ規定は見当たりません。行政書士については、さらに職務基本規則11条2項が、補助者および事務職員等に秘密を保持させる義務を行政書士に課しています。下書きを任せる場合も、公開前に本人が確認する運用にしてください。

STEP
公開後の反映を待つ

返信はGoogleの審査を経て表示されます。公式ヘルプによると、通常は10分以内、長い場合は30日ほどかかることがあります。表示されないからといって書き直しを繰り返さないでください。

公開した返信は、後から編集も削除もできます。ただし読んだ人の記憶や保存された画面までは戻せません。

返信しない判断もある

すべての投稿に返信しなければならない決まりはありません。とくに、紛争の当事者からの投稿に何度も返信すると、やり取りが続いて長文化します。読む人にとっても、経緯の分からない応酬は判断材料になりません。

返信するかどうかの目安は2つです。これから相談を検討している人に伝えたいことがあるか、事務所の姿勢を示す意味があるか。どちらも当てはまらない場合、無理に返す必要はありません。

口コミそのものを増やす方法と、頼んでよい範囲は士業は依頼者に口コミを頼んでいい?に整理しました。士業のWeb集客全体での優先順位は士業のWeb集客を参照してください。

「ご依頼ありがとうございました」と書くのは本当に避けるべきですか

公開の場で依頼関係を認めることになります。投稿者本人が自分で書いた内容であっても、事務所が追認すれば事務所の発信になります。「ご投稿いただきありがとうございます」に置き換えてください。

事実と違うことを書かれても反論できませんか

公開の返信で個別の経緯を説明すると、依頼関係や案件の内容を明かすおそれがあります。反論ではなく、実際に確認している場合に限って確認中である旨を伝え、必要に応じて非公開の連絡先を案内するにとどめ、内容がGoogleのポリシーに違反する場合は報告の手続きを使ってください。

補助者が返信してもいいですか

アカウントの権限があれば操作はできます。ただし公開の前に、有資格者が内容を確認する運用にしてください。行政書士については、職務基本規則11条2項が、補助者および事務職員等に秘密を保持させる義務を行政書士に課しています。

返信は投稿者に通知されますか

Googleの公式ヘルプによると、返信が公開されると投稿者に通知が届きます。返信は投稿者にも読まれる前提で書いてください。

同じ文面を使い回してもいいですか

構いませんが、すべて同一だと機械的に見えます。Googleは返信に名前やイニシャルを添えると信頼性が高まるとしていますが、士業では担当者名が案件と結びつく場合があるため、事務所名での対応にとどめる判断もあります。

まとめ

  • 依頼関係を肯定も否定もしない。謝意は投稿に対して述べる
  • 守秘義務は4士業それぞれの法律にあり、広告の規程は所属会ごとに異なる
  • 基本の型は3要素。投稿への謝意、事務所の一般的な姿勢、今後についての一言
  • 日付、来所の事実、案件の種類、経緯は書かない。担当者名も、案件と結びつく場合は避ける
  • 返信は投稿者にも通知される。すべてに返す必要はない

返信以外の論点もあわせて整理したい方は、士業のMEOをご覧ください。

返信の型を先に決めておけば、文面を考える負担を減らせます。投稿ごとに、返信の要否と公開してよい内容だけは確認してください。運用ごと任せたい場合はGoogleマップ集客整備でお手伝いしています。

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