MEOの商圏調査|移動時間・受付記録から来店元と対応範囲を考える

MEOの商圏調査|移動時間・受付記録から来店元と対応範囲を考える

商圏は「お客さまが実際にどこから来るか、どこまで訪問できるか」という事業の実態です。Googleビジネスプロフィールに登録するサービス提供地域とは別のものとして調べます。先に商圏を把握してから、その一部をプロフィールの設定や説明に反映する順番です。

この記事は、「どの地域のお客さまを狙えばよいか」「出張はどこまで受けるべきか」に迷っている店舗・地域サービス事業者向けです。読み終えると、来店元の仮説を立て、出張型なら採算から受付範囲を決め、その結果をどこに反映するかを判断できます。集客設計全体の中での位置づけは親記事のMEOで考える集客設計を参照してください。

商圏とサービス提供地域は、決め方も意味も違う

Googleのヘルプでは、非店舗型・ハイブリッド型の事業がサービス提供地域を市区町村や郵便番号などで指定でき、最大20か所、拠点からの半径では指定できないと説明されています。対象地域全体は、拠点から車で約2時間以内に収める目安も示されています。出典:非店舗型・ハイブリッド型のサービス提供地域(2026年10月5日確認)。

この「車で約2時間」は設定の上限の目安で、自店の商圏の広さを示すものではありません。同じヘルプには、設定によって見つけてもらいやすくなる旨の記載もありますが、登録した地域で上位に表示されることを保証するものではありません。また、このヘルプが対象としているのは非店舗型・ハイブリッド型の事業です。来店のみの店舗はこの設定を使いませんが、それでも商圏は存在します。

商圏サービス提供地域(GBP)
何を表すか実際に利用されている・利用されうる範囲訪問・配達できる地域としてプロフィールに示す設定
決め方受付記録、移動時間、公開統計から推定する商圏のうち、日常的に受けられる範囲から選ぶ
形道路や線路で歪んだ形になる市区町村・郵便番号などの単位
見直す時人員・メニュー・競合の変化受付範囲を変えた時

お客さまの出発地を3種類に分ける

同じ店でも、どこから来るかで利用の時間帯や探し方が変わります。「半径○km」で一括りにせず、出発地の種類を分けて仮説を立てます。

出発地利用の傾向(仮説)調べる手がかり
居住地休日や夕方以降。家族の用事とあわせて来る受付時の町名、周辺の世帯数
勤務先・通学先平日の昼休みや帰宅前。駅や職場の近くで探す平日昼の利用状況、昼間人口
通行・観光移動の途中で「今いる場所の近く」を探す。再訪は少なめ来店時の会話、観光シーズンとの関係

勤務先から来る人が多い店は、週末より平日の営業時間の正確さが重要になります。観光客が多い店は、営業時間に加えて入口や支払い方法など、初めてでも迷わない情報が先に来ます。出発地の種類は、MEOで優先する情報を決める手がかりになります。

距離より、移動時間と障壁で考える

地図上で近くても、来店しにくい場所があります。大きな川や線路、交通量の多い幹線道路、急な坂、駐車場の有無は、直線距離では分からない障壁です。公共交通で来る人にとっては、乗り換えの有無が距離以上に効くこともあります。

出張型では、片道の移動時間に加えて、渋滞しやすい時間帯、駐車できる場所の探しやすさ、道具の積み下ろしまで含めて考えます。地図アプリで時間帯を変えて経路を確かめ、ふだん実際にかかっている時間と照らし合わせます。

公開統計と少数の受付記録から、仮説を立てる

最初から精密な商圏分析は必要ありません。次の2つを組み合わせ、「このあたりから来ているらしい」という仮説を作ります。

  • 公開統計:政府統計の総合窓口(e-Stat)の社会・人口統計体系では、国勢調査などに基づく市区町村別の人口や世帯数を確認できます。住宅地か、昼間に人が集まる地域かといった性格をつかむ材料です。数字は調査時点のもので、自店の需要を直接示すものではありません。
  • 受付記録:直近の予約や問い合わせから、お客さまの地域を市区町村や町名の単位で数えます。数十件の記録でも傾向の手がかりにはなりますが、少ない件数で「この地域からは来ない」と決めつけず、仮説として扱います。

記録するのは地域の単位までで十分です。商圏を知る目的では、番地や氏名、電話番号を集計表に入れる必要はありません。予約や訪問のために住所を預かっている場合も、その情報を集計用に転記せず、町名までに丸めて数えます。お客さまから預かった情報を、伝えた目的の外で使わないことは、法令の確認に先立つ基本姿勢として守ります。

出張型は、採算から受付範囲を決める

以下は計算の考え方を示す架空の例です。実在の事業者や相場ではありません。ハウスクリーニングの事業者が、1日8時間の稼働で、1件の作業に2時間かかるとします。計算を単純にするため、1件ごとに拠点へ戻り、その日は同じ地域の案件だけを受ける前提にしています。下表は休憩・準備・事務作業・遅延を含まない理論上限です。実際の予約枠を決める際は、それらの時間を先に差し引いてください。

地域片道の移動時間1件の拘束時間(往復+作業)8時間での理論上限受付の判断
拠点のある市20分約2時間40分3件通常受付
隣接するA市40分約3時間20分2件通常受付の候補
川を渡るB市70分約4時間20分1件条件付き(出張費または複数箇所の依頼)

この単純化した計算では、B市の案件を同じ日に2件入れると8時間を超えます。ただし、B市の1件と近場の1件を組み合わせられる場合もあり、実際の1日の売上が必ず3分の1になるわけではありません。近い現場を連続して回るなら、拠点への往復ではなく現場間の移動時間で組み直します。

時間だけでなく、受注1件あたりの料金から材料費、交通費、駐車代などを差し引き、残る金額と拘束時間も比べます。たとえば料金12,000円、材料費3,000円、移動等の費用が近場で1,000円・B市で2,500円という仮例なら、残る金額は8,000円・6,500円です。上表の拘束時間で割ると約3,000円/時・1,500円/時になります。これは人件費や固定費を引く前の比較で、利益そのものではありません。これらの条件から、出張費を設ける、近い案件を同日にまとめる、受付範囲を絞るといった判断をします。

大切なのは、この判断を先に決めておくことです。プロフィールのサービス提供地域には通常受付の地域を中心に設定し、条件付きの地域はサイトや問い合わせ時の案内で説明します。設定の手順と住所表示の考え方は非店舗型とサービス提供地域で扱っています。

よくある失敗

  • サービス提供地域を「集客したい地域」で埋める:受けられない地域からの依頼が増え、断る手間と不満が増えます。上限まで登録することが目的ではありません。
  • 店主の感覚だけで商圏を決める:印象に残るお客さまの地域が、実際の多数派とは限りません。受付記録で一度確かめます。
  • 個人情報を必要以上に集める:分析のために詳しい住所を一覧化すると、管理の負担と漏えいのリスクだけが増えます。
  • 一度決めて見直さない:スタッフや車両の増減、近くの競合の開業で、受けられる範囲も選ばれる範囲も変わります。

調べた商圏を、どこに反映するか

商圏の仮説は、次のように使います。出張型の受付範囲はサービス提供地域の設定へ、来店元に合わせた営業時間や説明文の見直しは基本情報の整え方へ。比較される相手を選ぶときの範囲は競合調査の進め方、受付余力を踏まえた目標の置き方は目標とKPIの決め方で扱っています。分野全体の順番はMEOで考える集客設計に戻って確認してください。

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