地図の使われ方は「新規客か既存客か」だけでは分けきれません。「店を知っているか」と「何を頼むか決まっているか」の2つで分けると、それぞれに必要な案内が見えてきます。初めての人には比較の材料が、通い慣れた人には「今日利用できるか」の確認が求められている、というように、同じプロフィールが場面ごとに別の役割を果たしています。
この記事は、MEOを新規集客の手段とだけ考えていて、既存客の使い方まで手が回っていない店舗・地域サービス事業者向けです。読み終えると、自店のお客さまが地図で何を確かめているかを接客の中で観察し、直すべき情報を1つ選べます。集客設計全体の中での位置づけは親記事のMEOで考える集客設計を参照してください。
前提:ここで示す使われ方は、確かめるための仮説
「既存客の何割が地図で営業時間を確認している」といった一般的な割合を示すデータを、当社は持っていません。業種や立地でも大きく変わるはずです。以下の分類と例は編集上の仮説で、自店の実態は接客と受付記録で確かめることを前提にしています。
他店や業界の話を自店に当てはめて「既存客は地図を見ない」「新規客は口コミしか見ない」と決めつけると、実際に起きている迷いを見落とします。観察の方法は後半の表で説明します。
「店を知っているか」×「目的が決まっているか」で4つに分ける
| 目的が決まっている | 目的がまだ決まっていない | |
|---|---|---|
| 店を知らない | A. 「近くで○○を頼みたい」人。業種名で探し、条件が合う店を比べる | B. 「何か食べたい」「肩がつらい」程度の人。地図を眺めながら選択肢を広げる |
| 店を知っている | C. 「あの店で○○を頼む」と決めている人。店名で探し、時間や場所を確かめる | D. 知っている店の中から、今回どこにするか決める人。メニューや空き状況を見直す |
Aは一般に「新規客」、Cは「既存客」と呼ばれる人と重なりますが、一致はしません。紹介を受けた人は初来店でもC寄りで、店名で探します。何年も通っている人も、新しいメニューを試すときはD寄りになります。
場面ごとに、確かめたいことと店側の案内が変わる
4つの分類を、店側で実際に起きる場面に置き換えたのが次の表です。「確かめたいと考えられること」は仮説の欄です。
| 場面 | 確かめたいと考えられること | 店側で用意する案内 |
|---|---|---|
| 業種名で初めて探す(A) | 対応しているか、料金の目安、距離、雰囲気 | サービス内容と料金の説明、外観・店内の写真 |
| 紹介を受けた後(C) | 紹介者が話した店はここで合っているか、場所、予約方法 | 正式な店名の統一、入口が分かる写真、予約先 |
| 再訪の直前(C) | 今日開いているか、臨時休業や時間変更はないか | 特別営業時間・臨時休業の反映 |
| しばらくぶりの利用(C・D) | 移転や閉店をしていないか、メニューや料金は変わったか | 最新の住所、変更したメニュー・料金 |
| 知っている店同士で迷う(D) | 今回の目的に合うのはどちらか | メニューごとの特徴、所要時間、空き状況の確かめ方 |
この表から、改善の方向が新規向けとは違うことが分かります。既存客や紹介客の場面では、写真の数や投稿より、店名の表記、営業時間、住所といった基本情報の正確さが利用を左右します。基本情報の直し方は基本情報の整え方で扱っています。
架空例:個人経営の自転車店で起きていたこと
以下は説明のための架空の例です。ある自転車店は、プロフィールを「新規客向けの看板」と考え、修理メニューの写真を中心に整えていました。ところが接客で聞いてみると、次のような場面が見えてきました。
- パンク修理の常連が、祝日に「開いているか分からず」電話をかけてくる。祝日の営業時間がプロフィールに入っていなかった
- 近所の人から紹介された客が、屋号の読み方が分からず検索に手間取っていた。看板の表記とプロフィールの店名でカタカナと英字が違った
- 初めての客は「電動自転車も見てもらえるか」を電話で聞いてくる。対応車種の説明がどこにもなかった
この店が最初に直すべきだったのは、新しい写真の追加ではなく、祝日の営業時間と店名表記の統一でした。電動自転車の対応可否は新規客向けの改善として、その次に置きます。「既存客の問い合わせを減らす」作業が、結果として新規客の迷いも減らすことがあります。
接客観察表で、自店の実態を確かめる
仮説を確かめるには、受付や会計の時に一言聞いて記録するのが手軽です。2週間などの期間を決めて記録します。期間は統計的に十分な長さという意味ではなく、続けられる範囲で区切るための目安です。
| 記録欄 | 記入例 | 注意点 |
|---|---|---|
| 日付・時間帯 | 10/12 土 午前 | 曜日の偏りが分かるように残す |
| 利用の別 | 初回/再訪/紹介 | 本人の申告どおりに記録する |
| 来店前に見たもの | 地図、店名検索、サイト、見ていない、不明 | 思い出せない場合は「不明」でよい |
| 確かめたこと・迷ったこと | 祝日に開いているか分からなかった | お客さまの言葉に近い形で書く |
| 電話・受付で聞かれたこと | 電動自転車は修理できるか | 同じ質問が何回出たかを数える |
| 直す候補 | 祝日の営業時間を反映 | 記録した人の推測であることを区別する |
氏名や連絡先は記録しません。答えたくない様子なら無理に聞かず、聞けなかった件数も残します。聞き方は「今日は何を見て来ていただきましたか」程度にとどめ、特定の答えを誘導しないようにします。
記録から直すことを選ぶ
集まった記録は、まず「誤った情報で迷った」「情報がなくて電話した」「情報はあったが見つけにくかった」の3つに分けます。直す順番もこの順が基本です。誤情報は来店した人の不利益に直結するためです。
同じ質問が繰り返し出ていれば、プロフィールかリンク先のサイトのどちらかに答えを載せます。既存客の確認が多い項目(営業時間、休業日)はプロフィールで、条件の説明が長くなる項目(料金の内訳、対応範囲)はサイトで、と置き場所を分けると更新の手間も減ります。
よくある失敗
- 既存客は地図を見ないと決めつける:再訪前の確認で臨時休業を知らずに来店させてしまうと、その不満は口コミにも表れかねません。
- 新規客向けの作業だけ増やす:写真や投稿を増やしても、店名表記の揺れや営業時間の誤りが残っていれば、紹介客や常連の迷いは減りません。
- 1人の声で全体を判断する:印象に残った1件で方針を変えず、観察期間の記録全体で傾向を見ます。
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店を知らない人が来店を決めるまでの流れは来店までの情報収集と比較の流れで、どこで迷っているかを調べる方法とあわせて説明しています。営業時間や店名の修正に進む場合は基本情報の整え方、初めての人の不安を写真で減らすなら写真の撮り方と載せ方へ。分野全体の順番はMEOで考える集客設計に戻って確認できます。
