- マーケティング代行に任せられる範囲と、費用相場がわかる
- 代行・採用・伴走支援の3つの選択肢をコストで比較できる
- 自社は代行が向くのか、別の形が向くのかを判断できる
「マーケティングをやれる人が社内にいない。いっそ全部、外部に任せられないか」——マーケティング代行を検討する出発点は、たいていこの人材不足です。
結論から言うと、マーケティング機能の大部分は外注できます。ただし選択肢は代行だけではありません。代行・採用・伴走支援(外部と一緒に内製化)の3つを並べて比較してから決めないと、自社に合わない形を選んで遠回りすることになります。
この記事では、中小企業のマーケティングを支援している専門家として、代行の範囲・費用と、3つの選択肢の使い分けを解説します。
マーケティング代行とは?「施策の外注」と「部門の外注」
ひと口に代行と言っても、範囲は2段階あります。
施策単位の代行:広告・SEO・SNSなどの実務外注
特定の施策の実行を任せる形です。範囲が明確でコストも読みやすく、初めての外注はここから始めるのが安全です。施策別の費用相場は『集客代行の費用相場』で詳しく解説しています。
部門単位の代行:マーケティング機能ごと外に持つ
戦略立案から施策の選定・実行・改善まで、マーケティング部門の役割そのものを外部チームに任せる形です。「マーケ部長+実働部隊のレンタル」というイメージが近く、月20〜50万円規模(公開されている料金例を参考にした当社の目安)の投資になります。人を雇わずにマーケ機能が立ち上がる反面、引き継ぎや権限の設計をしないままだと、ノウハウや運用資産が外部に偏りやすいという性質があります。
費用比較:代行・採用・伴走支援の3択
「マーケ機能を持つ」ための3つの選択肢を、費用と性質で比較します。
| 選択肢 | 月額の目安 | ノウハウ蓄積 | 向く状況 |
|---|---|---|---|
| 部門代行 | 20〜50万円(参考レンジ) | △(引き継ぎ設計次第) | 今すぐ機能が必要・社内に受け手ゼロ |
| 経験者の採用 | 給与+会社負担・採用費等(条件で大きく変動) | ◯(属人化に注意) | マーケが事業の中核・長期投資できる |
| 伴走支援 | 10〜30万円(参考レンジ) | ◯〜◎(移転設計があれば) | 社内に担当者候補が1人いる・内製化したい |
注意したいのは、この3つは業務範囲も稼働量も異なるため、月額の数字だけで高い・安いを比較できないことです。採用の場合は給与に加えて、社会保険料などの会社負担、採用費(多くは一時費用)、教育・管理の工数が別途かかります。採る人材の経験や地域によって総額は大きく変わるため、「月額いくら」ではなく、総コストと得られる稼働・成果物で比較してください。また、1人に全領域を任せる形は、退職時に体制の立て直しが必要になるリスクも織り込んでおく必要があります。
施策別の費用相場の目安
「部門ごと任せる」のではなく施策単位で外注する場合、費用は施策の種類でかなり変わります。ここでは代表的な4分野について、公開されている料金例を参考にしたレンジを押さえておきます。実際の金額は業務範囲・制作本数・撮影や実装の有無・担当体制で大きく動くため、市場全体の相場ではなく、あくまで検討開始時の目安として使ってください。
SNS運用代行:月10〜30万円が目安
投稿の企画・制作・投稿・簡易分析までを含めた場合、月10〜30万円あたりが一つの目安です。ただし公開されている料金例には、投稿中心で月5万円前後のプランから、包括的な運用で月50万円以上のものまで幅があります。金額を左右するのは主に投稿本数と、制作物(画像・動画)の作り込み度合いです。撮影や動画編集まで含めると上振れします。
広告運用代行:広告費の20%前後+最低手数料
運用手数料は「広告費の20%前後」という料率型が一般的で、加えて最低手数料(月5万円前後)が設定されているケースが多くあります。つまり広告費が少額なうちは手数料の比率が実質的に高くなります。手数料の仕組み・初期費用の有無・レポート範囲の違いは『広告運用代行の費用相場|手数料の仕組みと選び方5つのチェックポイント』で詳しく解説しています。
SEO・コンテンツ制作:記事単価と月額の2階建て
記事制作は1本あたり数万円〜十数万円、キーワード設計や改善提案を含む月額のSEO支援は月10〜30万円程度が一つの目安です(診断のみ・助言のみ、あるいは大型プロジェクトでは金額帯が大きく変わります)。成果が出るまでの時間が長い施策なので、「何本作るか」より「どのキーワードを取りに行くか」に費用をかけられる相手かで選ぶことをおすすめします。
サイト・LP制作:単発の初期投資
ランディングページ(LP=1商品・1サービスに特化した縦長の申込みページ)は1本あたり数十万円規模、コーポレートサイトのリニューアルはさらに上のレンジになります。依頼先による価格差が大きい領域なので、内訳の見方は『LP制作費用の相場|依頼先別の料金と費用を抑えるコツ』を参考にしてください。
予算帯別にできることの現実
相場表よりも実務的に役立つのは、「自社の予算でどこまでできるか」の感覚です。中小企業でよくある3つの予算帯ごとに、現実的にできることを整理します。
月10〜30万円:施策は1本に絞る
この予算帯で複数の施策を同時に回すのは難しく、当社では広告かSEOか、どちらか一方に絞ることをおすすめしています。広告なら「広告費+運用手数料」で予算を使い切る前提になり、SEOなら記事本数は月数本にとどまります。
絞り方の一つの目安は、早く問い合わせが必要なら配信開始の速い広告、中長期の集客基盤を作りたいならSEOです(成果までの期間は商材・競争状況・データ量で変わります)。両方やりたい気持ちは分かりますが、この予算帯で分けると、どちらも成果判定に必要なデータが集まりにくくなります。
月30〜50万円:主施策+改善サイクルが回る
主となる施策に加えて、着地先(LPやサイト)の改善まで手が回るのがこの予算帯です。広告を出しながらLPを直す、記事を出しながら問い合わせ導線を整える、といった「集める」と「受け止める」の両輪が成立します。
当社の経験では、成果の伸び方が変わるのはこのラインからのことが多いです。広告を出しっぱなしにするのではなく、月次で数字を見て打ち手を変える体制が組めるためです。
月50万円〜:複数チャネル+戦略設計まで
複数チャネルの併用と、その手前の戦略設計(誰に・何を・どの順番で届けるか)まで含めて任せられる予算帯です。部門代行が本来の力を発揮するのもここからで、月20万円台の部門代行との違いは「稼働できる人数と職種の幅」に出ます。
最も成果が出ないのは、限られた予算を薄く分散させるパターンです。「SNSも広告もSEOも少しずつ」は、どの施策も判断に必要なデータ量に届かず、半年後に「何が効いたのか分からない」という結果になります。予算が小さいほど、1本に集中させてください。
マーケティング代行のメリット・デメリット
代行という選択肢そのものの良し悪しを、先に整理しておきます。どちらも構造から来るもので、会社選びでは消えません。
メリット:立ち上がりの速さと固定費の柔軟性
- 採用・育成の時間を飛ばして、その月から施策が動き出す
- 人を雇わないため、退職による機能停止や社会保険料などの固定費増を避けられる
- 複数社を支援してきた「型」が持ち込まれ、試行錯誤の回数を減らせる
3つ目の効果は見えにくいのですが、実務上は大きな差になります。私たちが支援した東京の研修会社では、外部の視点を入れてLP改善のPDCAを2ヶ月から1ヶ月に短縮し、セミナーの着席率が10ポイント向上しました。同じ施策でも、判断のスピードが変わると結果が変わります。
デメリット:ノウハウの外部蓄積と丸投げリスク
- 引き継ぎ設計がないと運用ノウハウが外部に偏り、契約終了時に社内へ残りにくい
- 成果の有無にかかわらず月額が発生し、判断を先送りすると固定費だけが残る
- 自社の商品・顧客の理解は外部より社内が上のため、情報を渡さないと施策の精度が上がらない
とくに3つ目は「丸投げ」の失敗として繰り返し起きます。任せる範囲と自社が担う範囲の線引きについては『Web集客の丸投げはあり?できる範囲・費用相場・失敗しない任せ方』でも整理していますが、この記事の後半にある「失敗しない任せ方3つ」が実務的な緩和策です。デメリットは消せませんが、任せ方で影響はかなり小さくできます。
▶ 関連記事:マーケティング会社のおすすめの選び方/マーケティング伴走支援とは?
マーケティング代行が向くケース・向かないケース
正直に線を引きます。
代行が向くケース
- 期間限定で成果が必要(新店舗オープン・新商品ローンチなど)
- 社内に受け手が本当に誰もいない、当面採用予定もない
- マーケティングが事業の中核ではなく、機能として回っていればよい
代行が向かないケース
- 「いずれは自社でできるようになりたい」意向がある → 伴走型で内製化を目指す方が長期コストを抑えやすくなります。詳しくは『マーケティング内製化の進め方』へ
- 商品の強み・顧客の解像度がまだ言語化できていない → 外部は一般論でしか動けず、費用対効果が出ません
- 予算が月10万円未満 → 部門単位で任せるには稼働がかなり限られる予算帯です。施策単位の外注やスポット相談から始めるのが現実的です
失敗しない任せ方3つ
- 窓口担当を社内に1人置く:兼務でよいので、外部とのやり取り・情報提供の責任者を決める。「全部お任せ」は施策の精度が落ちやすくなります
- 成果指標(KPI)を契約前に合意する:問い合わせ数・商談数など、測れる数字で。「認知向上」だけの契約は評価不能になります
- 四半期ごとに継続判断する:年間契約でも、3ヶ月単位のレビューと軌道修正の場を設ける
費用対効果は「リード数」でなく「売上」で判断する
代行の費用対効果を「問い合わせが何件増えたか」だけで見ている会社は多いのですが、これは判断を誤ります。リードが増えても売上が増えないケースは普通にあるからです。見るべきは、費用が売上に変わるまでの流れ全体です。
代行費だけでなく、広告費・制作費・社内の対応工数も含めた「その月の総額」で捉えます。手数料だけを見ると判断がずれます。
総額 ÷ 問い合わせ件数で、問い合わせ1件あたりの獲得単価が出ます。ここまでは多くの会社が見ている数字です。
問い合わせのうち何件が受注になったかを確認します。顧客1件あたりの獲得単価は「総額 ÷ 受注顧客数」、または「問い合わせ獲得単価 ÷ 成約率」で求めます。ここが抜けると「安く集めたが1件も決まらないリード」を成果として数えてしまいます。
受注件数 × 平均単価で売上を出し、投じた費用が回収できているかを見ます。厳密には売上ではなく粗利で見るのが安全です。継続商材ならLTV(取引期間全体の価値。売上ベースか粗利ベースかを先に決めます)まで含めて判断します。
先に決めるべきは「1件いくらまで払えるか」
この分解を毎月やるのは大変です。そこで先に決めておきたいのが許容獲得単価(許容CAC=1件の顧客を獲得するために払ってよい上限額)です。粗利から逆算し、「1件あたり◯万円までなら払っても利益が残る」というラインを決めておけば、月次の判断は「その線を超えたか、下回ったか」だけで済みます。
私たちが支援した新潟のエネルギー小売の企業では、施策を動かす前に1台あたり7〜10万円という許容獲得単価を社内で合意しました。以降はその物差しで施策を取捨選択し、超えるものは止め、下回るものに寄せていった結果、Meta・Google広告の効率は3倍に改善しています。判断基準を先に持つこと自体が、成果を押し上げます。
成果が出ない典型3パターン
費用対効果が合わなくなる原因は、代行会社の力量だけでなく、「任せ方の設計」にあることも多くあります。
- KPIを共有しないまま運用が始まる:何をもって成功とするかが曖昧なため、代行側は「作業をこなす」方向に最適化します。数ヶ月後に「思っていたのと違う」となる典型です
- 戦略を任せず、部分最適の寄せ集めになる:広告は広告会社、サイトは制作会社、SNSは別の会社。それぞれが自分の領域で最適化し、全体としては噛み合わないまま費用だけが積み上がります
- 営業と連携せず、リードが放置される:問い合わせが増えても、追客の担当と初動のルールが決まっていなければ売上になりません。マーケティングの失敗に見えて、実際は社内フローの問題です
3つとも、契約前の設計で防げるものです。逆に言えば、この3点について先方から具体的な質問が出てこない場合は、成果の設計までどこまで踏み込んでもらえるのか、契約前にこちらから確認しておくことをおすすめします。
マーケティング代行についてのよくある質問
- 代行とコンサルは何が違いますか?
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代行は実務を「代わりにやる」、コンサルは方針を「助言する」役割です。実務を任せたいなら代行、判断材料が欲しいならコンサルです。両方を兼ねる伴走型もあります。詳しくは『マーケティングコンサルとは』の記事をご覧ください。
- 小さな会社でも部門代行を受けてもらえますか?
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受けてもらえますが、予算が月20万円を下回ると実質的な稼働時間はかなり限られます。その予算帯なら、施策を1つに絞った代行か、伴走型で社内の1人を育てる方が費用対効果が高くなる場合が多いです。
- 最低予算はいくらから始められますか?
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施策を1本に絞る前提なら、月10万円前後から相談できる先が多い印象です(依頼範囲によってはより少額の例もあります)。ただし広告の場合は広告費が別途必要になるため、実質の総額は上振れします。マーケティング機能ごと任せる部門代行は、当社の目安では月20万円程度からが現実的です。
- 代行と顧問はどう違いますか?
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代行は実務を巻き取る契約、顧問は経営者や担当者の判断を支える契約です。社内に動ける人がいるなら顧問、動ける人がいないなら代行が基本の分かれ目になります。詳しくは『マーケティング顧問とは?費用相場と顧問が機能する会社の条件』をご覧ください。
- 代行から内製化に切り替えることはできますか?
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可能です。代行契約でも、アカウントの権限・成果物・手順書の引き渡しを契約に含めていれば、知識や運用資産は社内に残せます。そうした設計がないと、切り替え時の学び直しの負担が大きくなりがちです。将来の内製化が視野にあるなら、最初から「引き継ぎを前提にした支援」(伴走型)を選ぶ方がスムーズです。
- 成果が出るまでの期間はどのくらいですか?
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施策構成のほか、商材・競争状況・データ量によって変わります。当社の目安では、広告中心なら1〜3ヶ月、コンテンツ中心なら6ヶ月以上を見込みます。部門代行の場合、最初の1〜2ヶ月を現状把握と体制構築に充てることも多いため、その期間の動きが具体的かどうかで力量を見てください。
予算をかける前に、今のWeb集客のどこが詰まっているかを確認しておくと判断を誤りません。Web集客ドック(無料チェックリスト診断)で、現状の課題と優先順位を数分で整理できます。
まとめ
この記事の要点を整理します。
- マーケティング代行には施策単位と部門単位があり、部門代行は月20〜50万円が参考レンジ(支援範囲で変動)
- 選択肢は代行だけでなく、採用・伴走支援を含めた3択で比較する。採用は給与以外の負担も含めた総コストで見る
- 予算が小さいほど施策は絞って集中させる。薄く分散させると成果判定に必要なデータが集まらない
- 費用対効果はリード数でなく売上で見る。許容獲得単価を先に決めておくと判断が速い
- 内製化の意向があるなら代行より伴走型。期間限定の成果なら代行が合理的
私たちマーケティングサポートは伴走支援が主軸ですが、状況によっては「今は代行が合う」「まだ外注の段階ではない」とお伝えすることもあります。3択のどれが自社に合うか迷っている方は、無料相談で現状をお聞かせください。
