口コミの依頼は、「全員に同じ案内を、相手が都合のよい時に書ける形で渡す」ように設計すると、無理なく続けられてGoogleのルールにも触れにくくなります。声をかける人や言い方を毎回スタッフの判断に任せると、相手を選んだり、その場で書くよう求めたりといった違反が起きやすくなります。
この記事は、Googleビジネスプロフィールのオーナー確認を済ませ、これから口コミの依頼を始めたい店舗・地域サービスの方向けです。来店型・出張型・予約制それぞれの接点で、どこに何を置くかを決め、スタッフ向けの決まりと月ごとの記録まで作れることを目指します。どの依頼が違反になるかの詳しい判定は口コミ依頼の違反ラインにまとめているので、ここでは「導線をどう作るか」に絞ります。Google公式ヘルプは2026年10月5日に確認しました。
始める前に確かめる2つのこと
1つ目は、自店のプロフィールで口コミが使えるかです。Googleは、クチコミは一部の国や地域、業種でのみ利用でき、今後変わる可能性があると説明しています。出典:ユーザーからのクチコミを管理する(2026年10月5日確認)。たとえば、主に6〜18歳の生徒を対象とする教育機関のカテゴリでは、クチコミと評価が削除・無効になると案内されています。大学、託児所、水泳教室などはこの変更の対象外です。出典:クチコミが表示されない場合、クチコミの表示が遅れる場合について(同日確認)。自店のプロフィールに口コミ欄が表示されているかを、先に見ておいてください。
2つ目は、依頼の前提になるルールです。Googleのポリシーで、販売者に禁止されている依頼の仕方は次のとおりです。出典:禁止または制限されているコンテンツ(同日確認)。
- 投稿や、否定的な口コミの修正・削除と引き換えに、金銭・割引・無料の商品やサービスなどのインセンティブを提供する
- 否定的な口コミの投稿を妨げたり禁止したりする、肯定的な口コミを選んで募る
- その場で評価や口コミを書くよう要求・強要する、特定の内容を含めるよう依頼する
- 一定数の口コミを集めるようスタッフに求める、スタッフ名など具体的な内容を含む口コミを集めるようスタッフに求める
最後の項目は見落とされがちです。「1人月5件」といった個人目標や、「担当の◯◯の名前を書いてもらってね」という指示は、それ自体がポリシーに挙げられた禁止例です。インセンティブを使った場合、Googleは口コミの削除に加えて、一定期間新しい口コミを受け付けない、既存の口コミを非公開にする、警告を表示するといった制限をプロフィールにかけることがあるとしています。出典:ポリシー違反によるビジネス プロフィールの制限(同日確認)。
依頼用のリンクとQRコードを用意する
公式ヘルプでは、ビジネスプロフィールで[クチコミを読む]→[クチコミを増やす]を選ぶと、依頼用のリンクをコピーしたり、QRコードを保存したりできると案内されています。QRコードはパソコンのブラウザでのみ生成でき、モバイル端末では生成できません。共有の例として、領収書に含める、感謝メールに含める、チャットのやり取りの最後に追加する、QRコードを印刷して店舗に掲示する、の4つが挙げられています。出典:リンクまたは QR コードを作成してクチコミをリクエストする(同日確認)。
ここから先の設計は当社の編集上の提案です。リンクとQRは1種類だけ作り、置き場所ごとに使い回します。スタッフが個別にリンクを作ったり、自分のスマホで画面を見せたりする運用にすると、誰に案内したかが人によって変わり、管理もできなくなります。
接点ごとに置き場所を決める
お客さまとの接点を書き出し、それぞれに「渡す物」と「渡し方」を決めます。表は業態別の考え方の例で、自店にない接点は飛ばしてください。
| 接点 | 渡す物の例 | 渡し方の決まり(提案) | 避けること |
|---|---|---|---|
| 来店型の会計時 | レジ横のQR掲示、レシートや持ち帰り袋に入れるカード | 会計した全員に同じカードを渡す。口頭の一言は任意 | 機嫌がよさそうな人にだけ渡す。書き終わるまで待つ |
| 店内の滞在中 | 席や待合のQR掲示 | 掲示だけにして、声かけはしない | 「今ここで書けば…」と特典を付ける |
| 予約制・会員制 | 来店後のお礼メールやメッセージにリンク | 送る対象を「その日の利用者全員」など機械的な条件で決める | 満足度アンケートで高評価だった人にだけリンクを送る |
| 出張型・訪問型 | 作業完了の書類や請求書に印刷したQR | 書類と一緒に全件で渡す | 作業中や完了確認の場で書くよう頼む |
| 電話・チャットの問い合わせ | やり取りの最後にリンク | 利用が済んだ人に限り、毎回同じ文面で添える | 利用していない問い合わせ客に投稿を頼む |
表の「満足度アンケートで高評価だった人にだけリンクを送る」は、肯定的な口コミを選んで募る形になります。「ご不満は店へ、ご満足ならGoogleへ」と振り分ける案内も、否定的な投稿を遠ざける作りです。アンケートと口コミ依頼を併用するなら、回答内容に関係なく全員に同じリンクを案内してください。
出張型では、口コミの投稿時に利用したサービスの選択を求められることがあります。Googleは、選択肢を販売者のサービスリストなどから取得するとしているので、サービス提供地域とあわせてサービスの一覧も整えておくと、投稿内容と実際の作業が一致しやすくなります。出典:サービス ビジネスのクチコミについて(同日確認)。なお、項目ごとの評価が集計されるのは一部のサービス業に限られます。
案内の言葉は「任意・いつでも・率直に」で組む
案内文には、投稿が任意であること、都合のよい時でよいこと、感じたままを書いてよいことの3点を入れます。評価の数字、書いてほしい話題、スタッフ名は入れません。以下は架空の店舗を想定した文例です。
- カード(来店型の架空例):「本日はありがとうございました。よろしければ、お時間のある時にGoogleマップへご感想をお寄せください。率直なご意見を今後の参考にいたします。投稿は任意です。」
- 口頭(会計時の架空例):「こちら、ご感想を書ける案内です。お手すきの時にどうぞ。」
- お礼メール(出張型の架空例):「本日の作業についてお気づきの点があれば、こちらのリンクからGoogleマップにご投稿いただけます。良かった点もご不満な点も、そのままお書きください。」
口頭の一言は、言っても言わなくても構いません。言う場合は全員に同じ言葉で、カードを渡すのと同じタイミングに限ります。話の流れで「星5でお願いします」「担当の名前を書いてもらえると嬉しいです」と付け足しが起きやすいので、台本の外の言葉は足さない決まりにします。
スタッフ向けの決まりを1枚にまとめる
導線を店全体で続けるには、判断を個人に任せないことです。次の項目を1枚の紙にして、新人にも同じものを渡します(当社の提案です)。
- カードはその日の会計(作業完了)全員に渡す。相手を選ばない
- 口頭で言うなら決まった一言だけ。評価・話題・スタッフ名は頼まない
- その場で書いてもらうのを待たない。スマホの操作を手伝わない
- 割引・サービス・粗品を口コミと結びつけない。「書いてくれたら」と言わない
- 口コミの件数をスタッフ個人の目標にしない
- 家族・友人・取引先に投稿を頼まない
- 「書いたよ」と言われたらお礼だけ伝え、内容には触れない
7番目は、投稿した人とそうでない人の扱いを変えないための決まりです。書いた人にだけ次回の特典を付けると、それがインセンティブになります。
月に1回、案内した数と届いた数を並べる
導線を作ったら、月に1回だけ数字を記録します。届いた口コミの数だけを追うと、件数を増やしたい気持ちが依頼の仕方をゆがめるので、「案内した数」も一緒に記録してください。
| 月 | カードを渡した数 | メール等で案内した数 | 新しい口コミ数 | 本文ありの数 | 気づいたこと |
|---|---|---|---|---|---|
| 例:10月 | 200 | 40 | 6 | 4 | 出張分のQRが小さく読み取りにくいとの声 |
| 例:11月 | 210 | 45 | 5 | 4 | QRを拡大。レジ横掲示は変更なし |
表の値は架空の記入例で、目安や目標値ではありません。10月の例なら、案内240件に対して新しい口コミが6件で、計算上は2.5%です。ただし、カードとメールを同じ人に渡した重複や、依頼を受けずに投稿した人も含まれうるため、投稿率や依頼の効果とは呼べません。件数を並べて運用の変化を振り返る参考値にとどめます。
口コミの数字は、投稿の審査に数日かかる場合があり、クチコミスコアの更新には最大2週間かかる場合があるとされています。出典:クチコミが表示されない場合、クチコミスコアを理解する(同日確認)。月末に集計するなら、翌月の中旬に前月分を再確認する余裕を見てください。その後も追加・削除などで変わりうるため、集計した日を残します。
よくあるつまずきと直し方
- カードを渡し忘れる日がある。会計の動作に組み込みます。レシートと一緒に渡す、袋に先に入れておくなど、人の判断がいらない形にします。
- 口コミが急に増えた月がある。イベントや繁忙期で来店が増えた結果なら問題ありません。特定の日にまとめて声をかけた結果なら、案内を常設に戻します。並び方が不自然に見える心配はサクラと疑われる時の確認点で扱っています。
- 案内を見て低評価が届いた。導線が公平に働いている証拠でもあります。返信の考え方は低評価・星だけの口コミへの対応に進んでください。
- 業種固有の制約がある。士業の守秘義務や、医療機関の広告規制のように、Googleのポリシーとは別のルールが重なる業種があります。士業は依頼者に口コミを頼んでいいか、景品表示法との関係は口コミ依頼の違反ラインを先に読んでください。
依頼の導線が整ったら、届いた口コミへの返信に進みます。高い評価には具体的に返す書き方、事実関係を確かめる必要がある投稿には公開返信と非公開の確認の分け方があります。口コミ分野の全体と読む順は、MEO学習ガイドの口コミの項に戻って確認してください。
この分野の全体像と読む順は、口コミ・返信・顧客理解の学習ガイドにまとめています。
