- キーワード選定の手順5ステップ(洗い出しから記事への割り当てまで)
- 無料ツールでどこまでできるか、有料ツールが必要になる場面
- 検索ボリューム偏重・意図のズレ・カニバリという3つの典型的な失敗
ブログ記事を何本書いても問い合わせにつながらない、という相談の原因をたどっていくと、記事の書き方ではなくキーワード選定の段階でつまずいているケースがほとんどです。「検索されている言葉」と「自社が答えられる質問」がずれたまま執筆に入ってしまうと、どれだけ丁寧に書いても成果は出ません。
この記事では、沖縄拠点で全国のWeb集客を支援する当社が実務で回している手順を、そのまま5ステップに分けて解説します。使うツール、判断の基準、公開後に何を見て見直すかまでを含めた実践版です。当社自身のブログもこの手順で設計・運用しており、うまくいかなかった選定の反省もあわせて書いています。読み終えたら、そのまま自社のキーワード表を作り始められる状態を目指します。
キーワード選定で決まること
キーワード選定とは、記事を書く前に「どんな検索をした人に読んでほしいか」を決める作業です。ここで決まるのは順位ではなく、次の3つです。
- 誰が読むか:検索している言葉が、その人の状況(悩みの段階)を表します
- 記事の中身:同じテーマでも、狙う言葉が違えば書くべき内容は変わります
- 成果につながるか:読まれても問い合わせに至らない言葉が存在します
3つ目が見落とされがちです。アクセスは増えたのに問い合わせがまったく増えない、という状態は、たいてい情報収集目的の言葉だけを集めてしまった結果です。選定の時点で「この記事を読んだ人は次に何をするか」まで想像しておく必要があります。
選定の前に押さえるキーワードの2つの分類
手順に入る前に、キーワードを見る2つの軸を共有しておきます。この軸がないと、洗い出したキーワードを前にして手が止まります。
検索意図による4分類
| 分類 | 検索の目的 | 例 |
|---|---|---|
| Knowクエリ | 知りたい | 「キーワード選定 とは」 |
| Doクエリ | やり方を知ってやってみたい | 「キーワード選定 やり方」 |
| Buyクエリ | 買いたい・依頼したい | 「seo対策 費用」「◯◯ 代行」 |
| Goクエリ | 特定の場所やサイトに行きたい | 「ラッコキーワード ログイン」 |
問い合わせに近いのはBuyクエリですが、検索数は多くありません。Know・Doクエリで接点を作り、記事の中から相談ページや事例ページへつなぐ設計が現実的です。Goクエリは自社名や自社サービス名を含む指名検索が中心で、新規獲得にはつながりにくい傾向があります。
検索ボリュームによる3分類
- ビッグキーワード:単語1語が中心。検索数は大きいが競合が強く、意図も幅広い
- ミドルキーワード:2語の組み合わせ。中小企業が現実的に狙える主戦場
- ロングテールキーワード:複数語を組み合わせた具体的な語句を指すことが多い。検索数は比較的小さいが、意図が具体的な分、成果につながりやすいことがある
サイトを立ち上げたばかりであれば、ロングテールから積み上げるのが定石です。ビッグキーワードは、関連するロングテール記事が揃ってきたあとに、その中心に立てるまとめ記事で狙うほうが勝ち目があります。
SEOキーワード選定のやり方5ステップ
ここからが実務の手順です。1テーマあたり半日ほどで一巡できます。

ステップ1:軸になるシードキーワードを出す
最初に、自社の事業を表す言葉を5〜10個ほど書き出します。出どころは次の3つです。
- 提供している商品・サービスの名前と、その一般名称
- 問い合わせや商談で実際に聞かれた質問
- Search Consoleですでに表示されている検索クエリ
2番目が最も価値のある材料です。お客さまが実際に使った言葉は、社内の用語より検索されている確率が高くなります。「相続登記」を社内で「名義変更手続き」と呼んでいるようなズレは、この工程で洗い出せます。
ステップ2:サジェスト・関連キーワードを洗い出す
シードキーワードをツールに入れて、一緒に検索されている言葉をまとめて取得します。ラッコキーワードなら1語につき数百件の候補が出てきます。あわせて、検索結果ページの「他の人はこちらも質問」やページ下部の関連キーワードにも目を通してください。これらの候補は自動生成のため、実際に入力された疑問がそのまま並んでいるとは限りませんが、検索需要や関連する疑問を把握する手がかりになります。
この段階では絞り込まず、機械的に全部集めるのがコツです。判断を挟むと、自社が書きやすい言葉ばかりが残ってしまいます。
ステップ3:検索ボリュームと難易度を調べる
集めた候補に、月間検索ボリュームと上位表示の難易度を付けます。Googleキーワードプランナーは無料で使えますが、広告出稿していないアカウントでは「100〜1,000」のような幅表示になる点に注意してください。正確な数字が要るなら、有料のキーワードツールを併用します。
検索ボリュームを勘や感覚で埋めないでください。当社では選定表に「その数値をどのツールで取ったか」の出典列を必ず設けています。出典が混ざった表は、あとから見直すときに何を信じてよいか分からなくなります。
ステップ4:検索意図で分類し、グルーピングする
ここが選定の山場です。似た言葉を機械的にまとめるのではなく、実際に検索して、上位に並ぶページの顔ぶれが同じかどうかで判断します。上位10件がほぼ同じ顔ぶれなら、それらは1本の記事でまとめて狙えます。顔ぶれが違うなら、検索者の意図が違うため記事を分けます。
この作業をすると、キーワードプランナー上では別物に見えた言葉が同じ記事で足りると分かったり、逆に一見似ている2語がまったく別の意図だと判明したりします。ツールの数字だけで判断せず、検索結果そのものを見ることが精度を分けます。
ステップ5:クラスタを設計し、記事に割り当てる
最後に、グループを「テーマのまとまり(クラスタ)」として組み立てます。中心に総合的なガイド記事を1本置き、その周りに個別の疑問に答える記事を配置して、相互に内部リンクでつなぐ形です。
ここで、キーワード1つに対して担当する記事を1本決めておきます。1対1の対応は検索エンジンの仕様ではなく、同じ検索意図の記事を重複して作らないための当社の管理ルールです。同じ意図を狙った記事が複数あると、後述するカニバリゼーションの原因になり得ます。当社では、キーワードと記事URLを1対1で対応させた一覧表を真実源として持ち、新しい記事を作る前に必ずこの表を確認する運用にしています。
また、書く前にクラスタ全体の検索ボリュームを合計しておくと、そのテーマに何本投資する価値があるかの見当がつきます。ただしツールの数値は近い言い回しをまとめて丸めた推定値のため、単純に合計すると同じ需要を重複して数えることがあります。実際の流入は順位や検索結果での見え方、クリック率でも変わるため、合計値は流入の上限や予測ではなく、テーマ同士の規模を比べる粗い参考値として使ってください。この見積もりをしておくと「10本書いても月に数十アクセスにしかならないテーマ」に労力を注ぐ事故を防げます。
実務で使うキーワード選定ツール
中小企業の場合、まずは無料ツールの組み合わせで十分に回せます。
| ツール | 料金 | 主な用途 |
|---|---|---|
| Googleキーワードプランナー | 無料(Google広告アカウント) | 検索ボリュームの確認 |
| ラッコキーワード | 無料・有料プランあり | サジェスト・関連キーワードの一括取得 |
| Google Search Console | 無料 | 自社が実際に表示・クリックされているクエリの把握 |
| Googleトレンド | 無料 | 季節変動や需要の伸びの確認 |
| 有料のSEO分析ツール | 有料 | 競合サイトの獲得キーワード調査・難易度の精緻化 |
有料ツールが要るのは、競合が獲得しているキーワードを丸ごと知りたい場合と、キーワードの数が数千件規模になって手作業が限界を迎えた場合です。記事が数十本の段階では、無料ツールとスプレッドシートで十分に管理できます。
なお、最も過小評価されているツールはSearch Consoleです。すでに公開している記事が、自分でも気づいていない言葉で表示されていることがよくあります。そこを起点に新しい記事を設計すると、ゼロから狙うより成果が早く出ます。
キーワード選定でよくある3つの失敗
①検索ボリュームだけで選ぶ
最も多い失敗です。検索数の大きい言葉は競合も強く、上位表示までの距離が遠い上に、意図が広すぎて問い合わせに結びつきません。逆に月10件しか検索されない言葉でも、その10人全員が発注直前の状態なら、事業への貢献ははるかに大きくなります。数の大小ではなく「検索している人が今どの段階にいるか」で優先順位を付けてください。
②検索意図とページの種類が噛み合っていない
「◯◯ 費用」で検索している人にサービス紹介ページを当てても、なかなか評価されません。この検索の上位には、相場を横断的に比較した解説記事が並ぶからです。狙うキーワードごとに、上位に並んでいるページの型(解説記事・比較記事・サービスページ・事例)を確認し、同じ土俵のページを用意する必要があります。
③カニバリゼーション(記事の共食い)
同じ検索意図・同じ内容を狙った記事が複数あると、互いに競合して順位やクリックが不安定になることがあります。記事が増えてくると自然に発生するので、定期的な棚卸しが必要です。Search Consoleで1つのクエリに対して複数のURLが表示されていないかを確認してください。ただし、複数URLが表示されること自体は必ずしも異常ではありません。順位やクリックが不安定になっていないか、内容と検索意図が実際に重複しているかまで確認したうえで、重複していれば統合するか、片方の狙いをずらします。
統合するか残すかの判断は、それぞれの記事に届いている検索クエリが指名検索だけかどうかで見分けると整理しやすくなります。指名検索以外のクリックが付いている記事は、独立させておく価値があります。
【事例】選定して終わりにせず、公開後に見直す
キーワード選定は、記事を公開した時点では答え合わせが済んでいません。実際にどのクエリで表示されたかは、公開して数週間経たないと分からないからです。
当社(沖縄拠点・全国リモート対応)では、GA4・Search Console・BigQuery・Microsoft Clarityを組み合わせた解析環境を自社とご支援先で常時動かしています。狙ったキーワードで表示されているか、想定と違うクエリで拾われていないか、表示はされているのにクリックされていないページはどれか——このあたりを見ながら、選定そのものを修正していきます。このサイト自体も、その検証の場として運用しています。
ご支援した司法書士法人さまでは、記事を増やす前にこのキーワード戦略の設計から見直しました。事務所として答えられる相談と、実際に検索されている質問を突き合わせ、Googleビジネスプロフィールの整備と合わせて進めた結果、検索での表示回数は倍増しています。効いたのは記事の本数ではなく、狙う言葉を選び直したことでした。
当社では、定期的な見直しのタイミングを公開から3ヶ月後に置いています。評価が落ち着くまでの期間はサイトの状態や検索需要、変更内容によって幅があるためで、それより前のデータも、インデックスされているか・想定と違うクエリで拾われていないかといった観察や技術的な確認には十分使えます。3ヶ月というのは、日々の順位の上下で方針を変えないための区切りの目安です。
キーワード設計から見直したい方へ
ここまでの手順は、担当者が社内にいれば十分に自走できる内容です。実際、ツールも無料の範囲で足ります。外部に頼むべきなのは、手が足りない場合か、社内では気づけない視点が要る場合に限られます。
一方で、キーワード選定より前の段階でつまずいているケースもよくあります。そもそも検索から人を集めるべきなのか、集めた人を受け止めるページが用意できているのか。ここが崩れていると、選定をどれだけ精密にしても成果は出ません。現状を客観的に点検したい方は、無料のWeb集客の自己診断チェックリストを3分ほどで試してみてください。
選定が終わって「書く手が足りない」段階に来ているなら、外注も選択肢になります。任せられる範囲と任せられない範囲は記事作成代行の費用相場と選び方で正直に整理しました。Web集客全体の中でSEOをどこに位置づけるかはWeb集客の基本ガイド、中小企業がSEOに取り組む意味については中小企業がSEOに取り組むべき3つの理由もあわせてご覧ください。
キーワード選定についてよくある質問
- 1つの記事にキーワードは何個入れるべきですか?
-
狙う主キーワードは1つに絞り、同じ検索意図の関連語が自然に本文へ入る形が理想です。個数を目標にして詰め込むと、文章が不自然になり読者が離脱します。回数を数えるより、その言葉で検索した人の疑問がすべて解けているかを基準にしてください。
- 無料ツールだけで上位表示できますか?
-
記事数が数十本規模までなら、無料ツールとスプレッドシートで問題なく運用できます。有料ツールが必要になるのは、競合の獲得キーワードを丸ごと調べたい場合や、管理対象が数千キーワード規模になった場合です。ツールの差より、検索結果を実際に見て意図を判断する工程の丁寧さのほうが結果に効きます。
- 検索ボリュームがゼロのキーワードは狙う価値がありませんか?
-
ツール上でゼロや「10未満」と表示されても、実際には一定数検索されている言葉があります。ツールの数値は推定値であり、少数の検索は丸められるためです。商談で繰り返し聞かれる質問であれば、表示がゼロでも記事にする価値は十分にあります。
- キーワード選定はどのくらいの頻度で見直すべきですか?
-
当社では、個別記事は公開から3ヶ月後に一度、サイト全体の設計は半年から1年に一度を目安にしています。評価が落ち着くまでの期間はサイトや内容によって変わるため、インデックスの状況や狙いと違うクエリでの表示などは、3ヶ月を待たず早めに確認して構いません。見直しの材料はSearch Consoleの実測データを使ってください。
まとめ
SEOキーワード選定の要点を整理します。
- 手順は5ステップ。シード出し→サジェスト洗い出し→ボリュームと難易度→検索意図で分類→クラスタ設計と記事への割り当て
- グルーピングは数字ではなく、実際の検索結果の顔ぶれが同じかどうかで判断する
- 同じ検索意図の重複を防ぐため、キーワードと記事を1対1で対応させた一覧表で管理する(当社の管理ルール)
- 典型的な失敗は、検索ボリューム偏重・意図とページ種別のズレ・カニバリの3つ
- 公開後はSearch Consoleの実測で答え合わせをし、選定そのものを見直す(当社は3ヶ月後を定期レビューの目安にしている)
キーワード選定は、一度きりの作業ではなく、実測にもとづいて修正し続ける運用です。最初から完璧な表を作ろうとするより、10キーワードでも決めて記事を出し、3ヶ月後に答え合わせをするほうが早く前に進みます。手順は分かったが自社のテーマにどう当てはめるか迷う、という段階の方は、お気軽にご相談ください。
